こんにちは、ヤモリスタッフ小倉です。物件の現地調査など建築まわりを担当しています。
前回、「不動産の内見前の事前準備」についてお話しました。読んでいただいた皆さん、ありがとうございました!今回は、リフォーム工事の依頼先として「見積もりは誰に依頼するか?」、「一括発注と分離発注どちらがおすすめ?」について解説します。
〈目次〉
不動産のリフォームは誰に依頼するか?
見積もりの依頼先は大きく2つ。
全体的な工事を手がける「一式工事」業者(例: 工務店、建設会社)
限定的な分野に特化した「専門工事」業者
具体的には、建設業者の中で29種類の許可があり、これらは上記の2つに分類します。補足として、500万以上の専門工事では、専門の許可が必要です。
専門工事は、上記2種以外の27種類に分類されており、それらを下の一覧表にまとめました。必要な工事に内容に合わせ、表の右列で電話帳やGoogleMapで調べる際の依頼先名を記載しています。
どこに依頼すべきか悩んだ際は、是非参考にしてみてください!
※表の注意点
業者の沿革や会社規模によって得意不得意があります。先代は設備屋でリフォーム会社になったなど)アポイントを取得する際に「このような工事を依頼したいのですがお願いできますか?」と確認するとより良いでしょう。
どっちがおすすめ?一括発注と分離発注
この答えは少し複雑ですが、一般的に「一括発注で見積もりを取って、予算超過時に一部を分離発注」する方法をおすすめします。
一括発注 : すべての工事を一つの業者に依頼
分離発注 : 各種工事をそれぞれの専門業者に依頼
一括発注の構図
一括発注は、依頼主にとっては打合せがスムーズ、工事の責任の所在が明確なメリットがある一方で、直接下請けに発注する場合と比較して割高になる傾向があります。理由は、当然ですが現場管理費の発生と、発注先が重層になっている分中間マージン(工事の紹介料。支払うのは依頼主、元請けの利益)が発生する為です。
では、工事費が安価に抑えるために全てを分離発注とすると、工事内容によっては各専門業者の工程が密接に絡むため現場管理の難易度が上がります。
具体的に、トイレのリフォーム工事で例えてみましょう。
和式から洋式トイレ交換工事
解体撤去 既存のトイレの解体撤去:大工or水道設備業者
配管・配線 給水・排水管の位置の移動:水道設備業者 ウォシュレット用コンセント増設:電気工事業者
下地作り 床下地、壁下地作成:大工
仕上げ 壁クロス、床CFシート、ソフト巾木張り:内装業者
設置 新しいトイレの設置:水道設備業者 コンセントの設置:電気工事業者
洋式トイレの完成
多くの業者が、トイレという狭い空間で入れ替わり工事をすることになるため、現場にタイミングを合わせ来てもらうなスケジュール調整が必要になります。調整が上手くいかないと、職人を暇にさせ(これを遊ばせる、と言います)追加金額が発生したり、工事不良があった際の責任の所在が不明になりやすいといったリスクがあります。
| メリット | デメリット |
一括発注 | 打合せや工事が潤滑 | 割高になりやすい |
分離発注 | 安価になりやすい | 工程管理が必要 責任の所在が不明になりやすい |
一部分離発注について
一括発注、分離発注のどちらの方法にもメリット・デメリットがあります。しかし、一部分離発注という方法で、メインの工事は一括発注、一部の工事は分離発注すると、最も効果的です。
上記のトイレ工事の例でいうと、電気工事のみ電気工事業者に直接依頼します。工務店側からしても、主軸の職人は普段から一緒に働いているチームであり、一部初見の職人さんがいるくらいであれば調整も容易い、依頼者側も電気工事の工期だけ双方調整しておけばよいため負担も少ないです。
電気工事は一例ですが、その他切り分けの例として、内部工事と外部工事、内部工事とクリーニング、残置物撤去とその他工事などが考えられます。一式工事の見積書を受領のち、金額が相場より高い工事項目については分離発注を検討されるとよいと思います。
おわりに
リフォーム工事は、現場によって下地などの状況が異なっており、所謂開けてみてびっくりがあるため難易度が高いです。加えて、予想外に手間がかかったり段取り悪い現場であれば、給与体系が日当の職人さんにとっては自分や家族のお茶碗が抱えられるかと生活に直結します。
不動産事業は多くの関係者との連携が必要であり、各業界への理解と協力が不可欠です。この記事がリフォーム工事の依頼先選びの一助になれば幸いです。また次回も、よろしくお願いします!
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